表情で戦う野球選手

この間は人気を集め話題作となった「おおきく振りかぶって」という野球漫画を読んでいる。中学時代いじめられっ子でありながらも投球に人一倍の執着をもつ主人公が高校に上がって野球部にはいり素晴らしいチームメートに囲まれ自信を取り戻してチームの本当のエースになるというストーリーを描いたこの作品に、このようなセリフがあった。キャッチャー君が自信のないエース君に「マウンドでは、そうね、無表情もいいけど、やっぱ笑顔がいいね。バックは安心するし、打者的にすごくむかつくし」と言った。

私が去年翻訳した日本の野球小説「バッテリー I」にも「豪が、真顔で頷く。おとなびた、きついかおをしている。薄闇の中でもよくわかった。こういう顔で試合に出るのかと思った。」という描写があった。

この二つの作品の作者は、いずれも女性で繊細な心理描写が特徴だと言われていて、特に「おおきく振りかぶって」の作者であるひぐちアサさんは法政大学文学部心理学科卒業で、スポーツ心理学が専攻だそうだ。

一昨年アニメ化された「ONE OUTS」というプロ野球を舞台にした作品も、心理戦に長ける主人公がマウンドに立ち笑みを顔に浮かばせながらも相手チームの打者を翻弄し勝ち続ける話が描かれた。

さて、漫画や文学作品で頻繁に描かれる野球選手の表情は、現実世界の試合となると、どうなっているのだろうか。

2008年北京五輪の野球試合を見た。やはりその表情の事が気になって、テレビ中継の録画でチェックしてみた。

日本選手がヒットを打ったり点をとったりしたら、エースのダルビッシュ投手も杉内投手もベンチで普通に笑ったり応援したりしたが、一旦マウンドに立ったらすぐ「無表情モード」に切り替えてしまう。自分の投球が打たれても空振り三振を奪っても「無表情」のまんまでいた。

また、欧米人チームのピッチャーを見ると、日本選手よりはリラックスしているように見えるが、やはり基本的に表情なし。日本人からいかにも欧米人っぽく見える中国は打たれっぱなしだったから別に笑顔は期待していなかったが、意外に緊張しているようにも見えなかった。中国チームの投手の表情を言葉で表現してくださいといわれたら、たぶん「ちょっとこわばった無表情」となるのだろうか。

同じ無表情なのに微妙に異なっている。これは人により、文化により、そしてその場での気持ちによりことなるのだろう。結局、ピッチャーの笑顔を見ることができなくてちょっと残念に思ったが、考えついたことがあった。

九回裏、ランナー二塁三塁。四番バッターがバッターボックスにはいる。相手チームのサヨナラのチャンス。想像だけで背筋が寒くなりそうなこの場面では、心臓の鼓動がピッチャーより早い外野手は果たして何人いるのだろうか。キャッチャーのサインに首を振ったり足でマウンドをならしたりピッチャー。流石にこういう時はスタンドにカワイイ子がいるかをチェックするライトはいないと思うが、緊張を感じても興奮を感じても気持ちを顔に出さずにいるピッチャーには本当に感心する。

野球は試合になると相手に読まれては困る表情もあると思う。自分の心を相手に読まれないようあえて「無表情モード」に切り替えるということはつまり、いわゆる「ポーカーフェイス」で相手と立会うことに当たるだろう。「表情」は言葉より雄弁であるかもしれない。その表情の読み合いが野球選手たちには本当にあるかもしれない。

まさに表情で戦う野球選手!

人間の表情は非言語的意思表示という大きな役割を果たす。表情は相手を喜ばす事もできるし、特に勝負の世界では、表情は威嚇するために利用される場合もある。

ここで問題となるのは、「誤った表情」・「乏しい表情」などなどは時に相手を不快にするということもあるだろう。我々の人間関係を豊かにするために「理想的」な表情があるとすれば、その表情はまたどのようなものだろうか。この問題を考えたすえ、やはりそんな表情は存在しないと思う。たとえ「模範解答」が存在しても、それはキャラ作りみたいなものにすぎず、必ずしも本人の意思表示ではないと思う。

やはり私たちには、素直な表情が一番よいかもしれない。

话题:棒球

表情で戦う野球選手有 0 条回应

发表回应

 
如果您是注册用户,请先登录。
昵称 (*)
E-Mail (*)
(不会公开)
网站
留言 (*)
悄悄话
有(*)标记的是必填项目。